子どもは天才です。
環境によってものすごく成長します。
大人の何倍もの吸収力があり、色々なことを覚えて、習得していきます。
小学校や中学校などの吹奏楽部の強豪校(特に公立)を見れば、簡単に理解できます。
公立の学校であれば、才能のある子を集めるというわけにはいきません。入部時にオーディションする学校もほとんどありません。
つまり、誰でも入部できる吹奏楽部で「強豪校」が生まれるということは、指導によって、また環境によって、たまたまそこに属した子どもが各々努力を重ねた結果、秘めていた才能が花開いたということになります。
彼らの才能は努力なしには花開きません。
努力できる環境が、彼らを成長させると言っても過言ではありません。
ただ、その「吹奏楽部」の中でも実力差というものがあることを忘れてはなりません。
個々人の努力の差もあるでしょう。しかし、才能の差、センスの差、というのもあるのです。
どんな強豪校でも足を引っ張る子はいます。厳しい練習についていけず退部してしまう子もいます。努力できなかった子、あるいは才能が絶望的に欠如していた子は、強豪校の吹奏楽部では活躍できないのです。
これは、そのまま役者の世界、子役の世界に当てはめることができます。
努力と才能、この2つが合わさって、初めて子役として大成するのです。
では、どの程度才能が必要だと思いますか?
これには「定義」というものはありませんが、子役界では努力と才能は半々ぐらいだと思うと良いでしょう。
圧倒的な才能がなければ成功しないというほど「狭き門」ではありません。
かといって、努力だけで成功できるほど甘い世界でもありません。
努力なしで才能とセンスだけで渡っていける世界でないことは断言できます。
では、お子さんに才能があるのかどうか、どのように見極めれば良いのでしょうか。
また、「努力」はどのようにさせれば良いのでしょうか。
まず、才能の見極め方ですが、こればかりは親の目ではなかなか見極めるのが難しいです。
また、親戚、友人なども「お世辞」を言うことがありますので、あまりアテにしないのが良いです。プロデューサーや、どこぞの事務所のマネージャーなどに「才能あふれる子だ」と言われても、例えばそこで高額のレッスンを勧められたら、もしかしたらレッスンへの客寄せかもしれません。
では一体どうしたら…
才能の見極め方としては、お子さんをよく見てみてください。
そして、2つのことに注目してください。
1つめは「お芝居をしている時、カメラの前に立った時、あるいはレッスンを受けている時に目が輝いているかどうか」です。
要するに子役としてのお仕事に関することをしている時に生き生きしているかどうか、というところを見てください。
2つめは「『子役が好き』と自ら口にしているかどうか」です。
言わせるのではなく、自ら、というところが大事です。時々嫌がることはあっても、基本的に好きという感情を抱いていれば大丈夫です。
え?これだけ?
そう思いますよね?
才能と関係ないよね?「下手の横好き」ってこともあるし…
そう思いますよね?
しかし、断言します。
「下手の横好き」は大人限定で起こる現象です。その根底には「憧れ」という原動力があり、憧れだけで「好き」に直進すると、理想像ばかりがちらついて自分の実力や才能が見えなくなります。
子どもの「好き」に「憧れ」はありません。
好きになるきっかけに「憧れ」があり、好きな世界に「憧れ」の人や「目標」の人がいるということはあります。しかし、憧れの想いだけで好きにはなりません。
子どもの「好き」は非常に純粋です。そしてその「好き」に対して熱中できることは、間違いなく才能なのです。
お子さんが子役を「好き」ならば、努力をサポートしてあげることで子役への階段を上ることができます。
具体的な努力のサポートとしては、環境を整えてあげること、そして努力を習慣化することをおすすめします。
環境を整えてあげること、これは端的には「どうして他の子は遊んでるのに自分だけお芝居(あるいは歌やダンス)の練習をしなくちゃいけないの?」という心境に陥ることを防ぎ、「みんな頑張っているんだから自分も頑張ろう!」という心境に誘ってあげることです。
これには、同じ志を持つ子と切磋琢磨できる環境を作るのが効果的です。
レッスン、事務所、同じような子役志望の子が行く場所に連れて行くことで、彼らと出会い、自分以外にも多くの子が子役目指して頑張っているんだ!ということを見せてあげてください。
また、お母さんご自身が努力することも忘れてはいけません。
お子さんに努力させようと努力するのではなく、お母さんが努力する姿を見せるのです。
お子さんの課題台本をお母さんがしっかりと読み込み、背景や心情を捉えようと研究する姿を見せ、そして楽しそうに演じてみせることで、お子さんは必ず心を動かされます。
環境を整えてあげたら、毎日必ずステップアップできるように小さな努力を積み重ねる習慣を身に着けさせてあげてください。
歯磨きをするように、発声練習をしたり、即興芝居をしてみたり、ダンスの復習をしたり、こういったことを強制的にやらせるのではなく、お母さんご自身が楽しむ姿を見せて「一緒にやろうよ」と誘ってあげてください。
お子さんの才能、すなわち「好き」かどうかを見極め、努力できる環境を作ってやることが、お母さんにできる最強のサポートなのです。