今回は、お芝居子役さんのためのお役立ちテクニックをご紹介します。
セリフを覚え、演技する上で、活舌はとても大切です。
お稽古でも「あ・え・い・う・え・お・あ・お」や「あめんぼあかいなあいうえお」など、活舌のトレーニングをしているかと思いますが、ご自宅で、実際のセリフの活舌を良くしたい時にはどのように練習したら良いのでしょうか。
それは、お稽古でももしかしたら指導しているところがあるかもしれませんが、「母音発音」のトレーニングです。
セリフを全て母音だけで読む練習をするトレーニング方法です。
例えば…
「明日の天気は雨です」
というセリフであれば
「あいあおえんいああええう」
と、母音だけで読む練習をします。
この方法で、なぜ活舌が良くなるのかというと、5種類しかない発音なので、例文でもありますが「ああ」や「ええ」と、同じ母音が続くところがあります。
実はこういった連続する同じ母音は聞き取りにくくなりがちなのです。
「あいあおえんいあーえーう」
と発音してしまうと、それは活舌が「なあなあ」になってしまっており、子音をつけてもボヤッと聞こえてしまうことがあります。
これをハッキリと「あいあおえんいああええう」と発音(発声)することによって、子音をつけた時に非常にハッキリと明確な発音で喋れるようになるというわけです。
しかし、まだ小さなお子さんに「母音」やら「子音」やらの説明をするのは難しいですよね。
小さなお子さんに「母音」と「子音」について説明する時は、こんな方法がおすすめです。
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「明日の天気は雨です」
の最初の「あ」を伸ばして言ってごらん。
「あーーーー」
伸ばすと「あー」ってなるよね?
じゃあ、次の「し」を伸ばして言ってごらん。
「しーーーー」
伸ばすと「いー」ってなるよね?
じゃあ次の「た」は?
「たーーーー」
伸ばしたら…「あ」だねぇ。
この、伸ばして残る音を「ぼいん」って言うんだよ。
(ここで五十音表を出して、行と段の説明をプラスしてもOKです)
「あした」の「し」の最初は「S(スーーーという感じでsの発音だけ)」から始まって、そこに「い」がつくよね?だから「S」と「い」の組み合わせで「し」になるの。
「た」は「T(トゥ、トゥ、トゥ、という感じでtの発音だけ)」から始まって、そこに「あ」がついて「T」と「あ」で「た」になるんだよ。
これが「しいん」と「ぼいん」
これから、ハッキリ、しっかり、セリフを言えるように、母音だけで練習してみようね。
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こんなかんじで説明します。
そして、実際に「あいあおえんいああええう」と書いた紙を手渡して、読んで練習しましょう。
3回ほど読んだら「明日の天気は雨です」に戻します。
ちなみに、母音で発音する時は、ゆっくりめに、ハッキリと発音することが重要です。
だら~っと流して発音していたら、すぐにやりなおさせます。
お母様がお手本を見せてあげるのが効果的です。
その際には、口の動きに注目させてください。
お母様ご自身も、意識的に口をハッキリと動かして、お子さんに「こうやって口を動かすんだよ」というのを見せてあげてください。
これを何回か繰り返すと、「明日の天気は雨です」の発音(活舌)が次第によくなってくるはずです。
1日やっただけでは、実力として身に着くことはありませんので、このような母音発音練習はなるべく毎日、難しい場合でも隔日でおこなうようにしましょう。
セリフの練習としては勿論使えるのですが、この母音の練習は、歌でも大きな効果を発揮します。
歌は特に言葉が聞き取りにくくなりがちです。
節(メロディー)がついただけで、なぜこんなにも言葉が聞き取りづらいのか…というほど歌詞がモヤモヤっとしてしまいます。
これを改善するのが、母音と子音をハッキリと発音する方法です。
子音の訓練もした方が効果は倍増しますが、まずは母音の強化からチャレンジしてみましょう。
セリフの練習と同じく、母音だけで歌を歌います。
子音の練習についても少しだけご紹介しますが、それぞれの子音の部分だけを発音する練習をします。
「カ行」ならば「K」、「サ行」ならば「S」、「タ行」ならば「T」といった具合で、子音だけの発音をさせます。
これもお母様がお手本になってあげると良いでしょう。口の動きを見せて、真似させることによって、とても分かりやすくなります。
そして、「カ」ならば「K」と「あ」、「ス」ならば「S」と「う」をバラバラに発音し、その後合わせて発音させると、かなり活舌が良くなります。
この訓練をすると、口を大きく、沢山動かすというクセがつくようになりますので、自然に口をよく動かせるようになります。
是非やってみてくださいね。